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お知らせ

2018/05/08

土地の相続税対策抜け穴に、待った!

小規模宅地等の特例が大幅に改正されるというニュースは、多くの人たちの耳目を集めました。そこでこの特例について詳しい『薬袋税理士事務所』の薬袋正司先生に、お話を伺いました。

親族に持家あるなら知っておいた方がいい

平成30年4月1日から小規模宅地等の特例が大幅に改正されました。相続対策として、持家があるなしでは大きな違いがあります。小規模宅地等の特例はもともと残された配偶者又は同居していた親族が、引き続き住むことができなくなったり、税金が払えなくて事業が継続出来なくなると困るので、特例として土地の評価額を減額していますが、今回の改正でどのように変わったのでしょうか。

今回の改正では小規模宅地等のうち、「家なき子特例」「貸付事業用宅地等」に関する部分が改正されました。結論から言うと、適用要件が厳しくなりました。従来どおり特例を受けられるものと思っていて、いざ相続が発生したら受けられなかった。とならないようにあらかじめ確認しておきましょう。「家なき子特例」とは実際の名前ではありませんが、業界で使われている造語のようなものです。まず、これらの特例とはどのようなものか確認していきましょう。小規模宅地等の特例とは簡単にいうと一定の要件を満たせば土地の評価額を大幅に減額しますというものです。

故人が自宅の敷地の用に供していた土地で、その配偶者又は同居していた親族が取得した場合には「特定居住用宅地等」として本来の評価額から80%の減額ができます。それでは、故人に配偶者や同居親族がいない場合には、受けられないかというと必ずしもそうではありません。親と同居していた子が、地方転勤等の事情によってやむをえず、別の家に住んでいるときに親が亡くなってしまったというようなケースについても救済措置が設けられています。その救済措置が「家なき子特例」であり、別居親族であっても一定の要件を満たせば80%の減額を受けることができます。

その用件とは「相続開始前3年以内に自己又は自己の配偶者の所有に係る家屋に居住したことがない」というものです。つまり借家に住んでいる親族のことをさしており、持家がないという意味で「家なき子」といっているわけです。ここで注意が必要なのは、持家の有無の判定は夫婦で行うということです。その親族自身が持家を持っていなくても、その配偶者が持家を持っている場合には家なき子特例は受けられません。

この「家なき子」について次のような改正がありました。まず1つ目に、「相続開始前3年以内に3親等以内の親族、又はその者と特別の関係にある法人が所有する、国内にある家屋に居住したことがある者」は家なき子から除かれることとなりました。つまり、自分が家を持っていなくても親族が持っている家や親族が経営している会社が持っている社宅に住んでいる場合は家なき子とみなさないということです。前述したとおり、これまで持家の有無の判定は夫婦で行われてきました。しかし、その範囲が3親等内に広がります。例えば、これまでは1人暮らしをしていた親から既にマイホームを持っている子が親の自宅を相続した場合には特例を受けることができないので、遺言書によって子と同居している孫に親の自宅を引き継がせることで特例を受けるということが可能でしたが、今回の改正では孫も家なき子の特例を受けることができなくなりました。

2つ目に、「相続開始時において居住の用に供していた家屋を過去に所有していたことがある者」も家なき子から除かれました。この改正では、既にマイホームを購入した子が家を孫に贈与したり、購入した家を親に買い取らせてマイホームを手放すことで家なき子特例を受けるといった節税方法が封じられることになりました。

次に「貸付事業用宅地等」とは故人が貸付のために所有していた土地を親族が取得した場合には、本来の評価額から50%の減額ができるというものです。今回の改正ではこのうち「相続開始前3年以内に貸付事業の用に供された宅地等を除外する」、とされています。つまり相続の直前に貸し始めた土地は減額できないということです。これにより相続の直前に、一時的に賃貸用不動産を購入して、50%の評価減によって相続税負担を軽減させ、相続後にその賃貸用不動産を売却するといった節税対策を封じようとする狙いがあります。ただし、「相続開始前3年を超えて事業的規模で貸付事業を行っている者がその貸付事業の用に供しているものを除く」とされており、3年以上前から5棟以上の貸家や10室以上の賃貸アパート等がある場合には、これまでどおり、相続の直前に新たに貸付けたものでも特例の対象になります。

次々と埋まる法の抜け穴 秩序ある節税を

では、どうしてこのような改正が行われたのでしょうか。そもそも小規模宅地等の特例とは、残された親族の住む家を守り、生活基盤となる事業を継続していくために、これらについて高額な相続税が課されてしまわないようにしようという目的でとられている措置です。しかし、法の抜け穴を使用してやみくもに節税しようとする人がたくさん存在したため、このような改正に踏み切られることとなりました。税法をはじめ法律は本来社会の秩序を守り、適切に国家を運営していくためのもの。そのルールをかいくぐる行いを厳しく制限しようとする動きは、ある意味で健全なものと言えます。他にも、制度の趣旨にそぐわない使い方をされている特例等は、どんどん改正の動きが高まっています。現在存在している節税対策は、いずれも大きく見直される必要がありそうです。