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お知らせ

2019/03/22

非課税の特例措置を活用し若年世代へ財産移転促す

「平成31年度税制改正大綱」の相続税・贈与税のあり方の中に老老相続という言葉が出てきます。被相続人の高齢化が進み、相続による財産移転が若年世代へと進みにくい状況になっていることを表しています。相続発生時の年齢が80歳以上の被相続人は平成元年で38.9%でしたが、平成28年では69.5%になっています。被相続人が80歳以上だと、相続する相続人は50代前後。高齢者から高齢者へと財産が移転する、これが老老相続です。若年世代へ財産移転が進みにくく、しかも受け継いだ財産は消費されず、経済活動にとってはマイナスです。そこで相続が発生するまで待たないで若年世代へと財産を移転させる有効策の一つが生前贈与です。

◇生前贈与◇

贈与は、被相続人が亡くなると自動的に相続人に財産が移る相続とは異なり、財産を持っている贈与者が生きているときに財産を無償で受贈者に与える意思を表示し、受贈者が受諾することで成立します。民法では贈与契約として定められていて、書面または口頭で行うこともできます。口頭で交わした贈与契約については、まだ行っていない部分については後で取り消すことができます。それに贈与には様々な種類があります。定期的に一定の金額を贈与する定期贈与、受贈者に一定の義務を負わせる負担付贈与、財産を贈与する者の死亡によって実現する死因贈与、これら以外は通常の贈与です。財産のいくらかを生前に渡しておくことで、相続財産を減らして相続税を減らすことができますが、贈与した財産に対して贈与税が課されます。相続税とは異なりますので、課税される額や計算方法が変わります。

◇贈与税の基礎控除◇

生前贈与は基礎控除や一定条件を満たした場合の非課税の特例などをうまく使って贈与すれば、贈与税を抑えて財産を移転していくことができます。代表的なものが110万円の基礎控除です。1月1にちから12月31日までの暦年ごとに贈与を受けた人一人あたり年間110万円までの贈与について贈与税は課されません。年間110万円以下であれば申告も必要ありません。贈与税は相続税を補完する性格から相続税と比較して税率が高いのですが、基礎控除額を利用して年数をかけることで、節税効果を高められます。例えば子供3人、準備期間20年とすると、限度額いっぱいまで毎年贈与をしていくと、6,600万円の財産の移転が非課税で行うことができます。ただし、一度の渡せるお金が節税目的に分割され連年贈与されたと判断されると、多額の贈与税が課されてしまうので注意が必要です。なので、やみくもに贈与する前に贈与税の基礎控除や非課税の特例などを知ることで、上手に財産を若年世代に移転していきましょう。

◇相続時精算課税制度◇

次に挙げるのが、「贈与税の相続時精算課税制度」です。平成15年度の税制改正で、高齢者が保有する財産を若年世代へとスムーズに移転が行えることを目的に創設された制度です。この制度は、60歳以上の父母又は祖父母から20歳以上の子又は孫に対し、財産を贈与した場合において選択できる制度で、生前に贈与した財産のうち一定額までは贈与税を課さない代わりに、贈与者が亡くなった場合には生前に贈与した財産を相続財産に加算して相続税が計算されることになります。この制度を利用すると2,500万円の特別控除が受けられるため、2,500万円までの贈与には贈与税はかかりませんが、2,500万円を超える部分の贈与については一律で20%の贈与税が課せられます。ただし納めた贈与税は贈与者が死亡した際の相続税から控除されます。生前に受けた贈与財産は相続財産に加算し贈与税も相続税から控除することで贈与はなかったものつまり相続の際に「精算」します。という制度です。ただし、一度相続時精算課税を選択すると、同じ贈与者からは年間110万円の基礎控除が使えなくなります。また、特別控除は同じ贈与者からの贈与について生涯で2,500万円しか使えないので、利用する場合には注意が必要です。

◇教育資金・結婚子育て資金◇

平成31年度税制改正大綱で適用期限が延長された教育資金や、結婚・子育て資金の一括贈与非課税措置についてもみていきましょう。「教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税」は、祖父母などが30歳未満の子や孫の入学金や授業料に充てるための教育資金をまとめて贈与した場合には、贈与税は課されません。この教育資金は金融機関に口座を開設し、「教育資金管理契約」を結んでこの口座で実際に教育資金に使われた金銭を管理していくことになります。非課税となる金額は受贈者一人につき1,500万円が上限です。改正では、現行の仕組みが経済格差の固定化を招くとの批判を受け、その贈与を受ける年の前年の受贈者の所得が1,000万円を超える場合には制度の対象外になりますが、適用期限が2年延長され平成33年3月31日までとなりました。「結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税」は、親や祖父母から20歳以上50歳未満の子や孫へ結婚や子育てに充てるための資金をまとめて贈与した場合には、贈与税は課されません。こちらも金融機関での資金を管理することになり、非課税の限度額は受贈者の一人につき1,000万円になります。こちらも改正で1,000万円の所得制限と適用期間が2年延長されることとなりました。

◇ジュニアNISA◇

「未成年者少額投資非課税制度(ジュニアNISA)」も子や孫への生前贈与として活用が期待されます。ジュニアNISAの対象年齢は0~19歳です。両親や祖父母からの贈与には110万円を超える部分については通常通り贈与税がかかりますが、贈与を受けた資金をジュニアNISAで運用すれば、年間80万円までの株や投資信託で得た売却益や配当金を非課税にすることができます。投資口座は両親や祖父母など運用管理者が管理し、投資資金は原則18歳になるまで引き出すことができません。非課税期間は最長5年間、投資可能期間は2030年までですが2023年12月末以降、非課税期間の満了を迎えても、一定の金額までは20歳になるまで引き続き非課税で保有できます。

他にも薬袋さんは被相続人、または相続人が認知症などになるリスクも考慮した、家族信託や遺言信託などの活用も推奨しています。