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らせNEWS&TOPICS

生命保険契約について契約者変更があった場合-NEWS&TOPICS-

お知らせ

2018/10/12

「ご主人が契約者で奥様が受取人の年金保険、もうすぐ年金支払いが開始します。契約者を奥様が年金を受取ると贈与税の対象になるので、今のうちに契約者を奥様に変えておけば所得税の対象となり、今まで払った保険料が経費になるので申告は要りません・・・」
保険契約が満了になる頃、保険会社からこのようなアドバイスを受けて契約者を変更するケース、結構あるようですね。その後年金の支給が始まり暫くしたら税務署から連絡が!などということにはならないのでしょうか。

保険契約は保険要因(事故)が起きた場合に受取人が支払いを受ける権利を持つ受取人の固有財産として取り扱われます。保険料を支払っていた被相続人に相続が発生して死亡保険金が支払われる場合、相続財産に該当せず遺産分割の対象にもなりません。これは保険金を受取る権利の話です。税法上は保険料負担者と保険金(年金)受取人の関係で以下のような課税関係になります。一つの保険契約で、受取人が負担している保険料と受取人以外の者が負担している保険料がある場合には、支払保険料の総額を分母とし、それぞれの者が負担した保険料を分子として受取保険金を按分し、下記の取り扱いをします。

 保険料負担者    保険金(年金) 受取人        保険事故      受取人の課税税目
   夫           夫          満期          所得税
   夫           妻          満期          贈与税
   夫           妻          死亡          相続税

Q1 生命保険契約の契約者を途中で変更した場合、直ちに贈与税を納めなければなりませんか?
A  契約者を変更しただけでは課税は生じません。保険事故が発生したときに課税されます。満期保険金はその満期の日に贈与があったものとして、死亡保険金は被保険者の死亡の日に贈与または遺贈があったものとして、年金保険はその給付事由発生時点で贈与があったものとして課税されます。

Q2  年金保険について契約者の変更をした場合、給付事由発生時に贈与を受けた金額はどのように計算しますか。
A   給付事由発生時の年金受給権の権利の評価額(解約返戻金相当額)で贈与を受けたものとして贈与税を計算します。

Q3  贈与税が課された年金保険について、その後に受ける年金は税金は課されないのでしょうか?
A   年金給付事由が発生した際に、年金の全額を一時金で支給を受けた場合は、贈与税だけで課税関係は完結します。それは贈与税の対象となった解約返戻金相当額が、実際に支払いを受ける金額と同額だからです。年金で受け取る場合には給付事由発生時の解約返戻金相当額(年金原資)が運用されて、稼得利益を乗せて支給されます。よってその稼得利益部分については所得税が課されます。その計算方法は次回の記事でご案内します。

Q4  契約者を変更しただけでは税務署は分からないのでは?
A   平成27年度の税制改正で、平成30年1月以降に契約者変更をした等の場合には、生命保険会社から税務署に調書を提出することが義務付けられました。実際に課税されるのは保険を解約した、年金給付事由が発生した時点ですが、過去の契約者変更の事実は事前に税務署に把握されることになります。

投稿者:薬袋正司