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らせNEWS&TOPICS

生命保険と遺産分割-NEWS&TOPICS-

お知らせ

2019/08/09

被相続人死亡を原因とする死亡保険金は、保険金受取人が受け取るべき財産として民法上の相続財産(遺産分割対象財産)になりません。しかしその保険料を被相続人が負担していた場合には、被相続人が保険受取人への将来の贈与をするという生前の意思により契約された要素が多分にあるため、みなし相続財産として相続税の対象となります。

Q:被相続人の死亡保険は遺産(分割対象)となりますか?
A:
保険金受取人は、保険会社と保険契約者の保険契約に基づき、被保険者の死亡により直接に保険会社に対し保険金請求権を取得することになります。したがって保険請求権は保険金受取人に指定されている当該特定の相続人の固有の権利ですから、相続の対象にはなりません。

Q:保険金受取人を単に「被相続人又はその死亡の場合は相続人」とする場合、保険請求権は遺産分割の対象になりますか?
A:
保険金請求権は相続の遺産分割の対象になりません。
当該保険請求権は、保険契約の効力発生と同時に、相続人となる者の固有の財産として扱われます。よって相続人が相続放棄していたとしても受取ることができます。その取得割合は、法定相続分で支払われるケースが多いようです。

Q:保険契約の約款で、「保険金受取人の指定のないときは保険金を被相続人の相続人に支払う」とされている場合の保険金請求権は相続の対象になりますか?
A:
保険金請求権は相続の対象になりません。
最高裁は保険金を被相続人の相続人に支払う旨の約款がある保険契約の性質について、このような条項は被相続人が死亡した場合において、相続人に保険金を取得させることを定めたものであって、このような約款に基づいて締結された保険契約は、保険金受取人を相続人にすると指定したものと同様であるため、相続人の固有の財産となるとしています。
Q:保険契約者(被相続人)が、自己を被保険者とし、かつ保険金受取人と指定した場合の保険請求権は相続の対象になりますか?
A:
保険契約の性質上保険請求権は相続財産にはならず、相続人が原始的に取得するという見解と、保険請求権は一旦被相続人に帰属し、相続財産として相続人に相続されるとする見解があります。
東京高判平成24年7月10日判決(平24(ネ)1107)では、死亡保険金が被相続人である死亡保険金について、原告に遺贈する旨の遺言書が存在し、原告が保険請求権を主張した裁判で、契約当事者(保険会社と保険契約者である被相続人)の合理的意思解釈や共済契約約款の規定から「共済契約に基づき受取人が取得すべき死亡共済金請求権は、受取人の死亡により開始する相続によって、その法定相続人が承継取得することになる」と判示し、相続財産ではないとしています。

Q:保険契約者死亡による保険契約の失効返戻金は相続の対象になりますか?
A:
失効返戻金は相続の対象になります。
失効返戻金は保険の契約期間中に保険事故以外の事由によって保険契約が終了した場合に、未経過期間に対応する保険料を保険契約者(保険料負担者)に返還する等を趣旨とする精算金であり、その返還は保険契約者に対してなされるものです。したがって相続財産にとなります。
契約者が被相続人以外で、保険料負担者が被相続人の場合は、返還金を受取る人が被相続人以外ですので相続の対象となりませんが、みなし相続財産として相続税の対象になります。