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胎児の相続-NEWS&TOPICS-

お知らせ

2019/05/30

夫の急死 妻のおなかの中には赤ちゃんが どうなる胎児の相続

相続が開始した時にお母さんのおなかに息づいている赤ちゃんがいます。相続人になれるのは亡くなった被相続人と同時に存在する自然人。胎児は相続開始時において懐胎されているがまだ出生していない子供です。相続人になれるのでしょうか。この場合同時存在の原則の例外として、胎児にも条件付きで権利能力が認められ、相続人となることができます。

Q:同時存在の原則(継続の原則)とはなんですか?
A:
相続人は、相続開始の時(被相続人の死亡時)から、被相続人の一身に専属するものを除いて、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継します。その際、権利義務の承継は、一瞬の時間的な隔たりがなく継続してなされます。そのため、被相続人の死亡時において、権利義務の主体となる相続人が存在していなければなりません。このことを同時存在の原則(継続の原則)といいます。

Q:胎児はどのように扱われるのでしょうか?
A:
人は出生によって権利能力を持つとされています。胎児は、出生していませんので、同時存在の原則からすると、相続開始時に胎児であった者は相続人となることができないことになります。しかし、相続開始時に出生していたか否かによって、被相続人の血縁者でありながら相続人となる者と相続人となれない者が区別されるのは不公平な結果を導きます。そのため、同時存在の原則の例外規定を設け、胎児は相続については既に生まれたものとみなすとし、胎児が相続人となることを認めています。

Q:「胎児は相続については既に生まれたものとみなす」 の意味は?
A:
民法では「胎児は、相続については既に生まれたものとみなす」とされています。これは生きて生まれることを停止条件とする停止条件説と、死んで生まれることを解除条件とする解除条件説の見解があります。停止条件説では相続開始時に胎児自身には権利能力はなく、生きて生まれたときに相続時に遡及して権利能力が認められます。解除条件説では相続開始時に胎児自身に相続についての権利能力を認め、死んで生まれたときは相続開始時に遡及して権利能力を失います。解除条件説をとれば胎児に法定代理人を就任させることができます。判例では停止条件説をとっています。

Q:胎児が死体で生まれてきたときはどうなる?
A:
胎児が死体で生まれたときは、最初から胎児がいなかったものとして取り扱われます。停止条件説によると、胎児は生きて生まれたときに、相続時に遡及して権利能力を取得するので、死体で生まれた場合は、一時も権利能力を取得しないことになります。解除条件説によれば、胎児は死体で生まれたことによって、権利能力が相続時に遡って消滅することになります。

配偶者は必ず相続人になります。胎児以外に子がなかった場合、無事胎児が生まれてくれば相続人は第1順位の妻と子になります。胎児が死産であった場合、相続権は第2順位(配偶者と被相続人の父母等の直系尊属)、父母等がすでに死亡しているときは第3順位(配偶者と被相続人の兄弟姉妹)となります。胎児がこの世に生を受けるか受けないかで状況が一変することになります。