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お知らせ

2020/05/11

注目度高まる節税対策 もはや「終活」の必須項目相続税、法人化で対策を

近年、「終活」という言葉をよく耳にするようになりました。それは、自分が亡くなった時のために葬儀・遺言・生前整理などを事前にきちんと行い不安を解消させる、『自らの人生の終わりに向けた活動』を略した言葉です。特に早めに取り掛かっておきたいものとして挙げられるのが、相続関連。子供や孫たちのために財産を譲りたいと思っているのならば、相続税の対策は必須事項です。せっかく多くの財産を残していたとしても、財産を処分しなければ多額の相続税が払えないというような苦労をかけてしまう可能性もあるからです。対策として、生前贈与や生命保険の活用などもありますが、今回は、近年注目を集めている「法人設立による対策」について紹介したいと思います。

 同対策を端的に説明すると、会社の仕組みを利用して合法的に財産を受け渡す、という方法です。条件は、相続人が株主として会社を設立して役員になっておくこと。もちろんメリットとデメリットがあります。

 まず利点について解説しましょう。通常個人からの贈与や相続により財産を受け取った場合には贈与税や相続税がかかります。ところが法人から個人が財産を受け取っても相続税や贈与税はかかりません。これが法人設立の大きなメリットです。個人の事業収入や家賃収入は将来の相続財産を増やしていくことになります。そこで法人を設立して事業や賃貸物件を法人に移し、法人が収入を受け取ることで、相続財産の増加を抑えることができます。さらに法人は受け取った収入から相続人へ役員報酬を支払うことで相続人は将来の納税資金を確保することができます。また、個人事業主とは異なり法人だからこそ『退職することが可能だ』という点にも注目してください。通常の給与所得とは異なる控除額で設定された「退職所得控除」もまた、節税対策として効果的なのです。通信費・交際費・宿泊費など日々の細々とした出費を経費として計上できることも節税へと繋がります。

トラブル回避のためにもビジョンを明確にして設立を

 さて、マイナスな面についてですが、ざっくり言うと面倒なあれこれが発生するということです。まず、法人化した場合は、たとえ赤字の年であったとしても法人地方税の支払いが発生します。さらに、会社法に基づいた会計処理を行わなくてはならず、経理関係の事務作業もやらなくてはなりません。設立時には定款の作成をはじめとした法律に従った手続きが必要となります。そして一番やっかいなのが経営を巡るトラブル発生の可能性があるということです。株式保有数や経営方針における考え方の違いから、株主同士でドロドロのバトルが繰り広げられることも。こうして文字にするとドラマや映画などお芝居の世界でよく描かれるような内容なのですが、これは現実にも起きうることなのです。つまり、設立するにあたっては色々な面において責任をもって経営する覚悟が必要になるということです。

 最後に相続税対策としての会社設立における注意事項をいくつか。まず資本金について。これは1円から設定可能ですが、なるべく1,000万円未満に設定しておくこと。この金額を超えると、初年度から消費税の申告が必要となり、法人地方税も高額になってしまいます。次に自身を株主には含まないこと。本人が株を所有してしまうと、それが個人の財産として算出されてしまうため、法人設立のメリットを損なってしまします。そして、株式が相続財産となるので、相続人を株主にすること。また、役員報酬を支払うことができるため、相続人全員を役員にすることもお忘れなく。資本金のハードルの低さからもお分かりいただけると思いますが、会社を設立することはそこまで難しくありません。ただし、相続税対策を目的にしているのならば、トラブル回避の為にもしっかりと計画を練り、何をどのような目的でやるのかとビジョンを明確にしておくべきだと思います。